導育甘言集 2015.08   表紙頁]へ   我楽多苑 別亭 (真面目な愚痴)]へ

「個と公」論 [0831]
『「個と公」論 小林 よしのり著 幻冬社 2000年5月 1刷 \1,500+税』 (購入\200税込み)
子供達の教育(共育、強育、...)について考える時、常に何時どのような形で「社会性=公」を与えるかが問題になると思っている。
従来は、家庭教育の中で、”世間の目”(あるいは、“公衆道徳”)という形で教えられて来たはずだし、本来それが望ましいのだが、今では“個人・人権の尊重”などという怪体な西洋思想かぶれの影響で、多くの(日本の)家庭内では放任・放置状態のままだ。
この本は、(かの「ゴーマニズム宣言」で有名な)小林よしのり氏の出された「戦争論」に対して出て来た“種々の反論”に対する答え、逆批判の内容らしい。
毒舌も交えて、なかなか手厳しいから、大変面白い!(つい、クスリ♪と笑ってしまうことも多!)
氏の考え方の多くの点で、納得や合意が出来る。
これまで、よく知りもせず、“何となく感じ悪いよね!(民主党議員の例の愚かなプラカードの文言と同じだぁ!)とか思っていたのだが、“振れ幅は大きいが意外に正論”なので、もう少し別の著作・漫画も見てみないといけないなと思った。
私達一般人は、歴史的な事件の1次資料を見ることも、知ることも出来ない|難しいから、そうした資料をきちんと紐解いて論を展開する論や発言は傾聴に値すると思う。
昨今、そうした努力をせずに、架空の設定で論じているケースが多いように見受けられ、苦々しく思っているからだが。

ヨコミネ式 子供が天才になる4つのスイッチ [0828]
ヨコミネ式 子供が天才になる4つのスイッチ 横峯 吉文著 日本文芸社 平成21年10月 1刷 \1,300+税』 (購入\200税込み)
この本を読んでいて、スイッチという言葉で思い付いた!
七田 眞氏の提唱する「右脳開発」に対して、公文 公氏の「公文式」は「左脳開発」ではないか!と。
さらに、横峯 吉文氏の「ヨコミネ式」は、それらを繋ぐ役目をする「脳梁活性化」ではないか!と思うが、どうだろうか?
どの手法も、脳の各パートだけの活性化を図ろうとしているが、最終的には、やはりいずれも『脳全域の活性化』が狙いだろうと思う。
だから、子供(達)の状態や特性に応じて、“どの時期”に“どの手法”に重点を置いてやらせるかは、親や教える側の“選択判断”が必要になるのではないか?
ヨコミネ式」は、幼稚園児への適用が主で、小学生にまでは及んでいないという話だが、そりゃそうかも!
小学校からは、(良し悪しを問わず、「右脳」の働きを抑えて、)もっぱら、「左脳」への“知識の詰め込み”が主となる。
「右脳」と「左脳」を取り持つ「脳梁」の役割は、殆ど期待されていないのだ。
こうしたそれぞれの「独創的な幼児教育手法」を統合した『脳活性化の総合的な理論体系』が出来ても良いはずだが。
(私達凡人・凡夫には無理だが、)そうした総合体系が作れる“知・智の巨人”が、そろそろ現れないものだろうか?

共育でわが子は必ず伸びる [0825]
だいじょうぶ!共育でわが子は必ず伸びる 木全 徳裕著 くもん出版 2004年7月 6刷 \1,100+税』 (購入\200税込み)
こうした本は、内容は確かで、参考になる事が一杯ある。
だが、これを読んで理解し実際に実行出来る母親達が、どれだけ居るかな?って考えたら、ちょっと寂しい気がする。
というのは、そうした(出来る)母親達は、既に幼少時に何某かの訓練(!)を受け、“理解出来る素養”を身に付けていると考えられるからだ。
割合からすれば、こうした内容が理解出来て、自分で実行も出来る母親の比率は、もう随分減って来て居るのではないかと思う。
今のような平和時には、“物事の価値観”が、どうしてもルーズで甘い方に移り、“何事も、楽で愉しければいい!”が優先するから、苦しい訓練など不要だ!嫌だ!となる。
また、社会もそれを是認するから、尚更、自分自身は愚か、周りからも強制することが難しくなる。
例えば、“戦争をしないためには、どうすればよいか?!”ということを議論せずに、兎に角、“戦争・嫌な事から逃避する”ことばかりを願う大人や子供達ばかりだもんな。
この本でも強調されていることだが、「子供は自立させるために、育てるのだ!」ということだが、“婚カツ”にまで親がシャシャリ出る見る時代だから、(私などは)“もう、どうしようもない!”と匙を投げたい気分ではある。
(でも、それでは負けなんだが...)

まぁいっぺん聞いとくなはれ [0822]
『まぁいっぺん聞いとくなはれ 石崎 義公著 産経新聞出版 平成20年9月 1刷 \1,400+税』 (購入\200税込み)
この本は、活字も丸文字(?)に近くて見易いし、挿絵も多いし、活字嫌いな若い人達にも向く、色々な意味で質の良い本だ!
出来るだけ多くの人達に読んで欲しい|読ませたいと思う本だ。
裏表紙に日本人形の絵があり、この著者の立ち上げた会社名が「タカコ」だから、きっと女性(母親、姉妹、配偶者)に関係があるのかな?と思ったが、実は滋賀県・信楽のタカコウ山(高香山)から取った名称だそうな。
それに、日本人形は土壇場の勝負の舞台として、ドイツの「ハノーバーメッセ」に打って出た時に使った“アイキャッチャー”だったらしい。
でも、その日本人形のお蔭で、サンプル納入から商談まで進んだそうで、“人形さまさま”だったそうだ。
本・文章はソフトタッチだが、内容は硬派で、割合世間に対して、かなり厳しい批評・批判をされている。

例えば、近頃出て来たへんな造語“オワハラ”対応に対して、『新卒予定者の内定辞退に疑問』と批判をして居られる。
私もその意見に賛成で、世の中の“そんな考え”を認め始めると、日本の産業界が、早晩ガタガタになるのは目に見えているからだ。
大学で出来の悪い若者達を量産し、さらにそうした中で質の良さそうな若者を確保しようと必死になる企業の裏をかくような動きを唆す連中の気が知れない!

脳には妙なクセがある [0819]
『脳には妙なクセがある 池谷 裕二著 扶桑社 2013年4月 11刷 \1,600+税』 (購入\200税込み)
この本には、一杯面白いことが書いてある♪
“脳の働き”と、“現実生活のシーン”とがちゃんと(?)結び付いているからだが。
例えば、“笑顔を作ると、楽しくなる!”というのが、研究の結果から分かって来たそうだ。
そういえば、昔、“わっはっは!と大声で笑えば幸せになる!”と説いていた浪越徳次郎さんという方が居られた。
その説が、今では脳科学で解明されたってことだな。(笑)
私達は、楽しいから笑うのが普通だと思っているのだが、実は、無理にでも笑い顔を作れば、楽しくなる可能性が増えるという。(ま、多少、努力と時間は必要かもな。笑)
周囲を巻き込めば、更に効果的になるのだと思う。

実は、『愛情』でも同じだ!特に、「子供への愛情」などでも、自分が疑って止めてしまったら、それで終わりだから、兎に角、その意識を持ち続けることだ。
無理にでも気楽にでも、“持ち続けているはずだ!”と自分で信じ込めば、それはやがて本物になる!(間違いない!)
私は、(世の中の)子供達が可愛くて仕方がないのだが、そんな気持を感じてくれる子供も多い。
...でも、街中であまり子供(達)に愛想良くすると、所謂「変態オヤジ・ジジイ」と間違えられるから、“程々”で我慢しているのだが。(苦笑)
(だけど、そんな雰囲気・環境だから、「子供達を、社会で守ろう!」...なんて、何のことだ?と、つい愚痴が出てしまう)

ホーキング宇宙論 [0816]
『ホーキングの最新宇宙論 スティーヴン・W・ホーキング著 佐藤 勝彦監訳 日本放送出版協会 1991年1月 6刷 \1,100税込み』 (購入\108税込み)
(右側の本は、“ホーキング宇宙論は大ウソだ”という解説本だが、単に“この著者の思い込み”と違っているだけの話らしい。笑)
私達が普通に見る星空は、大宇宙の一角にしか過ぎないが、この宇宙がずっとこのままの姿だったか、将来も変らないのか?といった疑問を解き明かしてくれるのが所謂「宇宙論」だと思う。
突き詰めて考えると、どうしても定常状態では居られなくて、変化し続けて来たし、将来も変化し続けるらしい。
では、変化の始まりは有ったのか?そこでは何が起きて来たのか?が、問われているわけだ。
もし、始まりがあるのなら、なぜ始まったのか?その始まりの前はどうだったのか?という疑問が、更に湧いて来る。
でも、所詮人間は、限られた入出力手段(手足や目や耳、五感、それに頭脳)しか持ち合わせていないから、巨大スケールの事象やミクロの事象には、直接触れて確認する手段を持たない。
間接的に観測する手段を整えながら、(仮想的な)視野を広げて行かないと、まだまだ存在するだろう「未知の領域・宇宙の始まりや宇宙の果て」を知ることは出来ないだろうと思う。
興味深い話として、「時間」というものに“始まり”があり、“終わり”もあるという仮説があるそうだ。
その“始まり”の前に何があったかを問うのは無意味だし、“終わり”の後に何があるのかを問うのも無意味だそうな。
何だか分かるような気もするし、分からないような気もする。でも、知りようがない事は、そこまでで打ち切るのも智恵だ!(笑)
ところで、「虚時間」というのがあって、それは既に数学的には存在が証明されていて、色々な問題を解くのに利用されているそうだ。
(右側の本の著者は、そんな「虚時間」なんて大嘘だ!と非難しているようだが)


名人碁所 [0813]
『名人碁所 江崎 誠致著 新潮社 1982年9月 (1刷) \1,200』 (購入\200税込み)
この本の始めに、“御城碁”と有ったので、ピンと来た。それは、以前に読んだ天地明察で、渋川春海安井算哲が“御城碁打ち”の関係者だった話を読んでいたからだ。 それで、迷わず買って来た。
読んで、損は無かった!...平和な時代の、厳しいが、平和的な公認勝負=碁で、世の中が沸いていた|湧かせていた様子が、見て取れるからだ。
(今の世は、錦織 圭君の“勝ち勝負”に喜び、安倍首相の“戦争抑止法案”には“反対”の気勢を上げる、平和で能天気な時代だが)
「天地明察」とは違って、こちらの方は、専ら“碁”の勝負が主で、名人位を取った安井家と次席に甘んじていた本因坊家の戦いを、本因坊家道悦、道策側の視点から描かれている。
流石に、安井算哲(=渋川春海)が本因坊道策の天才的な強さに、一勝も出来ない状態が続いた時は、はらはらしながら読んでいた。
結局、囲碁の道一筋の道策にしてみれば、天文学・暦学に心を移してしまった算哲には、裏切られた思いがあっただろうが、一筋に道を追う者とすれば、理解はし得たのかもしれない。
私達凡人は、何を追い掛けても、こうした人達のように大きな成果(成功結果)は得られないけれども、やはり“一徹さ”は望ましいことだと思う。

3分で右脳が目覚めた [0810]
『3分で右脳が目覚めた 中谷 彰宏著 三笠書房 2003年2月 2刷 \1,200+税』 (購入\200税込み)
この本は、サクサク読めて面白い!
話もスパスパと断定的で、くどくないし、分かり易い。
まてよ?ホントかな?...などと考えさせないところが、至って右脳向きな内容だ。(笑)
例えば、「ほめる」のは右脳、「けなす」のは左脳。...と書いてあると、つい、なるほど!と納得してしまう。
確かに、左脳は理屈っぽいからなぁ...という前提・想定で考えるからだろう。
...でも、右脳には“比較機能”は無く単純反応だけだから、前以て「反応=ほめる」を入れておかないといけないだろうなと思う。
じゃあ、けなしてばかり居る人の場合、左脳だけしか使っていないのか?右脳の働きの方はどうした?お休みか?...が、その辺りは詳しくは書かれていない。
まぁ、そこまで突っ込まない!暑い夏の読み物としては、快適かも!(笑)

(新)子どもの脳にいいこと [0807]
『新 子どもの脳にいいこと 鈴木 昭平、向後 利昭著 コスモトゥーワン 2013年6月 7刷 \1,400+税』 (購入\108税込み)
私は、この本の著者が設立した協会の呼称“エジソン・アインシュタイン・スクール”を見て、どうしても胡散臭さを感じてしまう。
人名に纏わるイメージを利用しようという気持は分からなくも無いし、「理性」や「利性」でなくて(母親たちのような)「感性」的なユーザを誘引する上では必要不可欠な命名なのだろうと思う。(でも、抵抗感が拭い切れない)
内容は、“知的障害”は主に「左脳」に関係するので、比較的安定で敏感な「右脳」を先に活性化・強化して、「右脳」の働きを「左脳」に及ぼしてその活性化を促すという考え方のようだ。
早い段階で「右脳」を活用させるようにすれば、その刺激で「脳全体の働き」が改善され、安定した社会生活を営み易くなるらしい。
確かに、「右脳」の方が情報をパターンで受け取る特性があるので、“情報の吸収率”は高いだろうと推測出来る。
興味深い話として、“親や教師が提示する情報は、直ぐに読み取って飽きてしまうから、ゆっくり・のんびり与える方法ではいけない”という。
これは気が付かなかった!...「左脳=理性脳」に情報を与える場合は、“ゆっくり、順序立てて!”と考え勝ちだが、「右脳=感性脳」には、コンパクトな纏まりを、素早く沢山与える方法が良いという。確かに!それは納得出来る!
だけど、この手法は、子供の期間だけで使うべきだな!とも思った。
日本共産党など野党は、大人達にこれを適用するのが巧みで、例えば今話題の「安保法制」を(理屈抜きで)“戦争法案”だと訴えれば、簡単に多くの人達から“戦争反対だ!法案反対だ!”という強い(感情)反応が引き出せる...というわけ。
政府は国民の「左脳」に訴え掛け、野党は人々の「右脳」を利用しようとしているが、「感性」を重視する時代には、どちらが有利かは“いわずもがな”だな。


王道の日本 [0804]
『王道の日本 覇道の中国 火道の米国 青山 繁晴著 PHP研究所 2009年9月 2刷 \1,500+税』 (購入\200税込み)
この著者は、今のマスコミ記者(多くの記事は共同通信社の配信を使うらしい)と違って、現場へ赴きご自分の脚や眼と耳で見聞きして取材をして書いて居られるので、“記事(文章?内容!)の迫力”が違うし、その現実感に圧倒される。
(尚、この著者は、共同通信を辞められて、(株)独立総合研究所を創設・代表取締役をされている)
この本を読みながら思ったのは、昨今の共同通信から配信を受けている朝日新聞毎日新聞東京新聞などの海外記事が、如何に上滑り記事か!っていうこと。
まぁ、そうした記事の方が、軽くて乗り易いし、単純な感想だけで済ませ易いから、一般読者にも受け入れられ易いのだろう。
でも、ネットを利用すれば、もっと多くの情報を拾えるから、若い人達は新聞紙一紙だけに絞らずに、読んでみて欲しいと思う。
わざわざしんどい思いをしながら、沢山の情報を受け入れ、それを仕分けしながら読み、考え、発言するのって、自分に何が得なんだろう思うかもしれないが、それは“知的な挑戦”で、“スポーツ”と同じ類のものなのだ。
私自身、年長の孫には、本を読め!本を読め!って口煩く言っているのだが、最近は、彼も自分に必要だと思う本は読んでいるようなので、少し安心している。

忍びの国 [0801]
『忍びの国 和田 竜著 新潮社 2009年3月 15刷 \1,500+税』 (購入\108税込み)
読んだ後で見たのだが、“15刷”だそうで、大変なベストセラーだったようだ。(へぇ!)
この本の主人公は?と問えば“無門”という忍者なのかな?
忍法に長け殺人は途轍もなく巧みだが、他方では惚れた女にはからしき弱くて、通例の英雄や豪傑というには憚られる人物だ。
そういった点から、並みの豪傑で十分満足出来る私などは、この小説に、かなり違和感を持った。(多少、ゲテモノの部類に入るというと、作者に叱られるかな?笑)
だが、お話としては結構面白くて、最後まですーっと読めたから、ぐじゃぐじゃいうだけ野暮なのかも。(苦笑)

近頃は、(素人っぽい?)芸人の作品でも芥川賞が取れるそうだし、大変なベストセラーにもなるようだ。(どちらが、後か先かはよく分からないが)
私は、(天邪鬼なのだろう、)新刊書を、ベストセラー作品として読んだことはない。
逆に、読んで面白かった中古本が、偶々ベストセラーだったことはよくあるが。

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