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物事集 二〇一八年四月版



『地底世界』(上、下)  「四月二十四日」

『地底世界(上、下) ジェームス・ロリンズ著 遠藤 宏昭訳 扶桑社ミステリー 2016年2月 2刷 各¥880+税』 (購入共¥216税込み)

これまで、SFと言えば、早川書房SFか、創元社SFしか読んだことがなかったが、今回珍しく、扶桑社の「ミステリー」として分類されている本を買って読んでみた。
表題からみて、当然SFだろうと推測が付いたが、案外、読んでみるまで真相は分からないというのが小説の世界だ。...で、やはり、SFだった。(笑)

シングルマザーのやり手女科学者が、(女)主人公みたいなので、最初は、何だか面白く無さそうな感じだったのだが、ついつい読み耽ってしまったので、結局は面白かったのかもしれない。
手に汗握る冒険小説(例えば、海の男“ホーンブロワー”の冒険譚など)というには、狭苦しい洞穴の中の話なので、少し息苦しくて広がりが無いような感じもした。
でも、昨今では、“洞窟内の探検”や“大きな洞窟の映像”も時折見かけるので、想像力で補えば、何とかそのつもりになって読めた。

SF小説というのは、とんでもない物でも、そこそこ想像させ得る(話・筆)力がないと、面白くは読めないものだが、一方で、その想像も読む側であまり膨らませ過ぎても、“話”に物足りなく感じるものだ。この本も、その感じが残った。

実は、この小説に期待し想像していたのは、地球はがらんどうで、内部にも表面層があって、人や動物が内向きに直立して生活しているような世界を描いてくれているのでは?と思ったのだが...違った!
多分、その話は、既に誰かが小説化しているのではないかと思うのだが、まだ出会えていない。
出会えるのを、愉しみにしていようと思う。



『宮脇俊三 鉄道紀行 セレクション』  「四月二十日」

『宮脇俊三 鉄道紀行 セレクション 小池 滋編 ちくま文庫 2014年6月 1刷 ¥1,000+税』 (購入¥108税込み)

こちらは、自転車旅行などと違って、のんびりと(主に普通)列車でコトコト揺られながら、日本は勿論、世界各地の鉄道の線路・路線の端から端まで乗って来たという話らしい。
日本国内の国鉄&JRの鉄道路線は、全て自らが、乗り尽くされたそうだから、凄いもんだ!

これはその紀行文の一部を編者が抜粋・編集したものだそうだが、、どこまで読み進めても飽きが来ない。
他の小説や作家の、薀蓄だらけでうんざりさせられるような作品ではなくて、読む側の“どうなのかな?”と思う疑問などを、(先回りして)さらりとほぐしてくれたりするような説明があって、大変読み易い。
言ってみれば、白米の“おにぎり”を味わいながら食べるような感じか?!

自分では、もうこんな旅はしないだろうけど、むしろ、しないからこそ、こうした本が愉しめるのだろうと思う。・・・ いい本と出合ったものだ♪
また、この宮脇氏の他の紀行本も探してみようと思う。



88ヶ国 ふたり乗り自転車旅』  「四月十二日」

88ヶ国 ふたり乗り自転車旅 宇都宮 一成、トモ子著 幻冬舎文庫 平成23年7月 1刷 ¥724+税』 (購入¥108税込み)

いやぁ、驚いた!こんな素敵なご夫婦も居られるんだ!って。
長く苦しい旅を、時には喧嘩も交えながら、概ねは協力し合って完遂して行く様は、読んでいてほれぼれ♪
人間、苦しい時ほど“我”が出易く、お互いの“反り”が合わないと、とても長期間は保たないと思う。
このご夫婦は、その“反り”が合う好見本なのかもしれない。
しかも、タンデム車で長距離を、というところが凄い!

タンデム車は、昔、一度試乗したことがあるだけだが、とても重かった記憶がある。
平地でも、押して歩くのさえ大変なのに、坂道を独りだけで押して上がるのなんて!
そんな重労働が、この本の随所に出て来て、読んでいるこちらまで、力が入り息が切れそうになる。(ハァーハァー、ゼェーゼェー)
それだけに、この本は、のんびりした物見遊山の旅行記などよりも、ずっと面白くて健康に好い!(笑)



『科学教の迷信』  「四月六日」  追加修正「四月十二日」

この著者は、のっけから、R.ドーキンス氏の書いた本は、“どれも下らぬ!”と仰る。(図2<クリック>
ドーキンス氏の「人間は、遺伝子の乗り物である」という説/話は、私は大変面白く感じたし、「ミトコンドリアDNA」の「性染色体」の内、(単独で存在する)「Y染色体」は男性固有のものであるといった話などは、私達人間の日常生活に当て嵌めて考えると、結構、説明が付け易いと思っているので、この著者のこの項には、まず、反発を感じた。

でも、読み進めて行くと、どうも、ある“狭い範囲内での法則性”についての異論/話らしい。其処では、“構造主義生物学”(?)を適用すべきだ!とのご意見らしい。
著者が、「自然界には、真の法則(性)など無い!」と仰っている点については、私も合意出来る。
「法則」というのは、私達人間が便宜上有ればいいな!仕事が楽になる!と思い、見付け出そうと努力して来たもので、元々は“有れば便利だが、無くて当然のもの”だからだ。
そういった面から見れば、“構造主義”というのは(私は未だ)良く理解出来ていないけれど、“ネオダーウィニズム”と“同じ穴の狢”ではないのかな。(笑)

まぁ、人間が組み立てる「法則」ってのは、上手く使えば、私達人間の生活に大変役立つわけだから、(この著者の仰るように)自然には実際存在しないものかもしれないが、人間が考えて組み立てたもので、要は「それ」の使い方次第だし、上手く使えば便利なものだ!と考えた方が良いと思う。
(その一例が、「英文法」だろう。昔は、便利に思えたし試験にも出たが、今じゃ、クソの役にも立たない?!)

どうも、この著者は、自然科学の中での「法則」というものを、狭い生物学の分野だけに限定して考えて居られるのではないか?
だが、もっと、宇宙物理や素粒子などの分野で、「法則」というものがどんな風に考えられ、扱われているか...そこでは、単に「仮説」としての「xx理論」でしかないってことは、ご存知なんだろうか?! 当然ご存知だろうと思う。
“科学教の迷信”などという書き方は、“一般大衆受けし易い”のかも知れないが、“科学というものを見損なっている”としか見えないが。(苦笑)

「法則」は、受け取り方や使い方次第で、毒にもクスリにもなる。
一般人は、“これが法則だ!”と云われると、それを金科玉条のように扱う傾向があるから、“危険だ!”、それは一種の“信仰”になり、“迷信”にもなるというわけだ。
“迷信”を流行らせるのは、“教祖群”の方というよりも、その“信者”(一般大衆)の方にも問題がある。
だから、そちらの方(迷信を信じ易い一般人の方)も、はっきり否定・攻撃すべきだとは思うが、まぁ、心優しい著者としては、現実には、それも難しかろう。だから、こんな書き方になったのだろう。
...思い返してみて、(私が)この著者のご意見を、特に否定する理由は何もなかったことに、後で気が付いた!



『これ誰っ!?』  「四月二日」

清水ミチコの「これ誰っ!?」 清水 ミチコ著 宝島社 2005年4月 1刷 ¥686+税』 (購入¥108税込み)

私は、“コロッケ”や“清水アキラ”は嫌いだが、この“清水ミチコ”さんの“歌まね”や“顔まね”は好きだ♪
連中が、セロテープで引っ張ったり、無理やり口を歪めたり白目を剥いたりしている様は、似せてはいるのかもしれないが、見ていて見苦しいものだ。

だが、清水ミチコさんのこれは、見ても嫌味が少ない。
女性だから許せるというわけでもないと思うが、多分、彼女の“総合的な芸力”が気に入っているからだろうな。(YouTube」の例

以前から、「BOOK-OFF」の単行本の棚で探してはいたのだが、なかなか見付からなかった。
このところ、文庫本棚も見るようになって、この本が、発見出来た!(図1)
内容は、結構豊富で、“クスッ”と笑わせられる処も多いし、“良く似ているなぁ!”と感心する箇所も。(図2<クリック>
昨今は、“芸”がなくても芸人扱いされる人も多くなっているようだが、その中で光っているように思う。


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