導育甘言集 2012.05 [我楽多苑 別亭 (真面目な愚痴)]へ [表紙頁]へ
なぜ日本人は [0530]
『なぜ日本人は学ばなくなったのか 齋藤 孝著 講談社現代新書 2008年5月 1版 \720+税』 (購入\105税込み)
寡聞にして、この著者を存じ上げなかったのですが、結構有名な方らしいですね。
で、この方の分析・主張は、日本人の“学ぶ力”が衰えてしまって、先行きが危ない!?のだそうですが、どうやら、その主因は、皆が、“アメリカ文化化”されて来たからだとか。
彼の国の本来の良さである「フロンティア精神」には見向きもせず、他方「黒人文化」などをちゃっちゃと取り込んで来たのが、その例だそうです。
(私見ですが、男女同権、女性の家庭放置・社会進出も、その例ではないのかな?)
でも、この本では、結局、段々“バカ”になっている日本人(全員)は、この先何をどうすればよいのか?って事が、書かれていないような気がします。(出来る人がすべきことは書いてあるけど、誰もがしなければいけないことが、書かれていない)
体よく分析してあって、各所で“なるほど!そうだそうだ!”と思わせられますが、終わりは、さらりと締め括ってあるだけで、“うむ、自分(達)は、心してこれをやらねば!”と思う程の気力が湧きませぬ。
もっと深堀りして、「根幹はこれだ!あなた達は、これなら必ずやれる!やるべきだ!」って指摘・啓蒙内容が欲しかったですね。
(つまりは、“感心はしても、出来ない話/出来ていない話”ばかりだと、これから先も、ずっーと出来ないでしょうから)
憲法で滅ぶ [0527]
『日本は憲法で滅ぶ 中国が攻めてくる! 渡部 昇一監修 総和社 平成23年2月 1版 \1,200+税』 (購入\105税込み)
この本は12名の著者による、日本国憲法の改正について異なる視点から論じたもので、それらの内容群総てが、大変参考になりました。
私は、今の日本国憲法を、早く改正すべきだと思っていますが、より適切なやり方・考え方を、もっと知るべきだと思いました。(やはり、“単細胞”ではダメ!ですね)
実は、渡部氏は改正ではなくて、一旦無効を宣言してから、新しい憲法に切り替えるべきだとのご意見に、眼を洗われた感じです。
(今の憲法は、米国産の“占領政策基本法”に過ぎないそうです。それは、憲法前文を見ると明らかで、“日本国民は...平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した”と書かれているだけで、もし“他国が信頼が出来ない時には、自国の安全をどうするか?”なんて事は、これっポッチも考えない“占領側の論理”ですから)
また、今の憲法を全廃した上で、『大日本帝国憲法』を部分々々改定・追加した上で、新たに採用すべきだという南出氏のご意見は、大変合理的で良い案だと思いました。
反面で、今の憲法第9条を有り難がっている連中を見ると、丸で、奴隷が“自分の足鎖”を、飼い主の思い遣り(逃げ出して酷い眼に遭わないように保護してくれているの)だと勘違いしている様子にそっくり!まったく哀れですね!...そりゃまぁ、逃げ出す気が無ければ、奴隷も気楽な立場/仕事なんでしょうけど。(尤も、我等日本人は、奴隷というものを、“おぼろ気”にしか知りませんけど)
癒す心、治る力 [0524]
『癒す心、治る力 アンドルー・ワイル著 上野 圭一訳 角川書店 1996年8月 10版 \1,600+税』 (購入\105税込み)
この医師の本を読んで、現代西洋医学や漢方以外にも、病気を治せる色々な治療手法がある/あった事に気が付き、眼から鱗が落ちた気がしました。
今まで、(私が)忌み嫌っている「呪(まじな)い」や「祈祷」、「催眠療法」、「手かざし」なども、治癒に役立った実例も紹介されていて、無碍(むげ)に否定する必要は無いのだ!と理解しました。
しかし、常に誰でもが、同じ手法/治療方法が使えて、再現性良く治癒するわけではなくて、どの手法も、“偶々、当った!”もののように見えます。
この医師である著者も、“患者”や“症状”に応じて別の方法を選ばせたり、他の専門医を紹介したりしていますから、つまりは、“万能治療法”なんて無くて、患者に合った適法を探ることが大事なようです。(色々試さないと、どれが当るか分からない!)
やはり、“治療者の課題&スキル”は、各人/患者の「自己治癒力」を如何に上手く引き出して、それを活性化させるかにあるようです。
(そういえば、風邪を引いて受診に行ったら、必ず肩を揉んでくれる老医師の話を聞いたことがあります。納得♪)
他方、患者の側に立つと、どれだけその治療法を信じられるか、どれだけ真剣に対処出来るかによって、「自己治癒力」を呼び覚ませる度合が変わり、“治り具合”も変わるのだろうと思います。(やる気が無ければ、治るものも治らない?!)
反面教本 [0521]
『子どもの「やさしさ」を育む本 主査 東 洋著 PHP研究所 1998年4月 1刷 \1,200+税』 (購入\95税込み)
この本は、“とても古臭い手法”を勧めています。なので、「反面教本」!
尤も、10年以上前の出版物なので、あまり責めるわけにもいかないでしょうが、今の30〜50代の母親達の“知識ベース”になっているようなので、心配/困惑しています。
現に、その年代の母親達(の一部?)はその気配(智恵遅れ!)が濃厚で、未だに“知的な事実は、子どもが物事を理解出来るようになってから教えるべきだ!”という説をそのまま信じていたり、更に新しい知見や説を、自ら学習して取り込もうという気力を失っているようです。
それにしても、ずっと以前から『胎教で子ども育てる』だとか、『三つ子の魂、百まで』とかいったことが言われていたにも拘わらず、殆どの親達が「0〜3歳の早期教育」を意識していなかったのが不思議です!
(まぁ、私自身も、知識はあっても、実行動はしなかったから、あまり偉そうなことは言えませんが。orz)
それに、この本では、テーマとなる「やさしさ」の意味が、殆ど分析されていませんね!単に現象の表面ズラを、口当たり良いようにさらさらと撫でているだけの感じ。その考え方によって、個々人や世の中が、今より良くなるわけでもない。(現実は、悪くなる一方?!)
人間は、基本的には『個(人)の生存』が最優先です!...それを(社会の中で)維持して行く技法/スキルの一つとして「他人との相互援助≒他者への思い遣り」があるのだということを、しっかり見据えるべきだと思いますね。そのためには、幅広い知識や智恵も不可欠でしょう。
もし、無人島で単身で“生き延びよう”とするなら、他生物/猛獣や害虫などへの「思い遣り」なんて、“危険”そのものですし、それで自分が喰われてしまうとしたら、笑い話にもならない!(自分を助けてくれそうな場合には、その相手は大事にする必要があるでしょうけど)
男の肖像 [0518]
『俯き加減の男の肖像[上、下] 堺屋 太一著 新潮社 1995年7月 1刷 \1,700税込み』 (購入\105税込み)
表題からはちょっと陰鬱な感じがしたのですが、実は赤穂不義士(討ち入り不参加)の主人公が、「赤穂での塩作り」から転じて、大坂の「池干拓地での綿量産」に夢を燃やすが果たせず、紆余曲折で苦労しながら、最後は、夢成らず夢だけが残った状態で終わってしまう話でした。
“個人の夢”は、大き過ぎたり現実から掛け離れ過ぎていても、運が無ければ結局は徒労に終わるか、自分の世代では実現出来ないもののようです。
この人物の夢は、江戸時代に「綿の生産性を上げる」話だから、「流通」や「消費地・消費量」の向上・増大なども一緒に考えていなくてはいけないのですが、「作る」ことばかりに専念していた自分に気付かされて、呆然となるわけ。
やはり、世の中全体を考えて、全体の動きが揃わなければ、何事も実現は難しいようです。逆に、世の中の動きが的確に読めれば、大きな仕事も易々と出来るのかも。(例えば、ホリエモン/堀江貴文氏などがそうでしょうね)
変わろうとしない奴は [0515]
『変わろうとしない奴はもういらない 落合 信彦著 光文社 2002年7月 1刷 \1,400+税』 (購入\105税込み)
これは、若い人達に向けての檄文(げきぶん)だろうと思います。
いやいや、“怠け者日本人全員”向けかも?!
勿論、自分で好奇心を持って、自律的に何かをしよう!と考え、行動している人には無用な本でしょうね。
中の「20の勇気」を拝見して、今ある自分自身で、どれだけ実行出来るか?と考えたら、甚だ心許無かった。(左写真クリック)
でも、これらは日常生活においても、常に求められていることだから、“私は関係ない!”とそっぽを向くわけにはいかないでしょう。かと言って、それらを実践する気力も実力も無い...
やはり、その「原因=基礎造り」となる処(幼少時の教育・導育)から、地道に改善して行くより仕方が無いのかな?と思ったり。
村上水軍物語 [0512]
『村上水軍物語 眉間尺の巻 村上 睦郎著 新人物往来社 1990年1月 1刷 \1,700税込み』 (購入\105税込み)
私の母の旧姓が『村上』で、昔から叔父達から“祖先は、村上水軍/海賊だったらしい”と聞かされていたので、興味はあったのですが、偶々BOOK-OFFで、この本を見付けたので買って来ました。
「浜荘太郎則安」、またの名を「眉間尺」と呼ばれていた人物が、ばらばらだった海賊達を「村上水軍」として纏め上げるまでの物語。
深さは無いが、冒険小説の一つとして、面白く読めました。
その後で、自分はどんな血を引いているのだろうか?などと勝手に想像して、愉しんでいます。まぁ、瀬戸内海辺りの海賊だから、多寡が知れているでしょうが、「勇気」と「行動力」などは、もっと沢山受け継ぎたかった!と思いますね。(笑)
父性で育てよ! [0509]
『父性で育てよ! 親と教師は何をすべきか 林 道義著 PHP研究所 1998年8月 1刷 \1,238+税』 (購入\105税込み)
『父性』とは何か?!について、この著者は『徳』、『権威』、『秩序』などを挙げられていますが、それらも重要な要素だと思います。
しかし、それらも、簡単に誤解され易い“日本語の辛さ”で、受け取る側の知識の無さ、教養の無さ、想像力の無さから、(違った)古色蒼然とした意味でしか理解しない/出来ない人も多いようですね。
(いっそのこと、外国語でも探して来て充てる方が、誤解されなくていいような気もしますが)
私なりの解釈では、母性は『足元を見ながら従来路線を外れずに、安定・着実に歩むことを教える』のが役目なのに対して、父性は『時間的・空間的に視野を大きく広げて方向付けをし、創造的、あるいは試行錯誤的に物事を進めることを教える』のが役目なのだと!
つまり、何事も成り行きに任せず、いや任せるにしても自律的判断の上で自分(達)の進む方向を決めて、自分(達)の意志でそちらに歩んで行く能力があるってこと。
(もし、それが無いのなら、最近、やたら増えて来たような“中性”か“偏母性”なのでしょう)
井戸を掘る [0506]
『医者 井戸を掘る アフガン旱魃との闘い 中村 哲著 石風社 2001年12月 5刷 \1,800+税』 (購入\105税込み)
以前、番組で採り上げられていたのを拝見したことがありますが、あれなど、実は“上っ面だけの報道”だったらしいことが、この本でよく分かりました。
アフガン現地の人達は、自助自立したくても、出来ない状態らしい。喩えれば、『泳げない人が、今溺れている状態』でしょうか。
そうした中で中村医師達は、国際支援から孤立無縁の状態でありながら、彼らを助けるために自分達に出来ることは、やり抜くのだ!と、頑張って来られているようです。
お粗末/傑作なのは、国連や欧米の支援組織などで、掘る井戸には、(直ぐ枯れて使い物にならなかったものでも、)ちゃんと識別番号を振って権利化し、それを成果として大々的に報告・発表していた/いるそうですね。(とても、良心的日本人のセンス/心情には、合わないですが!)
医師が井戸を掘る理由は、現地の衛生状態の改善や、作物の生育・食料化と栄養状態の改善など、理に適った医療活動をされている様子や他人任せにしない懸命のご尽力に、頭が下がる思いです。
一方で、日本にも居る貧者達を、どうして先に助けないのか?といった声なども聞こえて来そうですが、それに対して、(著者の代わりに)“甘ったれるな!”と言いたい。そんな事を云う暇があるのなら、自分(達)なりに、“自分の汗”を流せばどうだ?!って話ですから。
(アフガンの人達は、気の毒だとは思います。でも、今の処、私自身はそちらの方を支援する気は無いので、悪しからず!)
むかつく二人 [0503]
『むかつく二人 三谷 幸喜、清水 ミチコ著 幻冬舎 2007年1月 1刷 \1,400+税』 (購入\105税込み)
実際の放送を聞いていたら、もっと面白かったのでしょうが、この本も、読んでいて、あちこちでつい笑ってしまいました♪
清水ミチコさんは、以前から“顔真似”や“ピアノ弾き”など色々な才能があって魅力的だと思っていたのですが、三谷さんは、余り存知上げなかった。
三谷幸喜さんも、なかなかユニークな方ですね。(喜劇作家らしいが、ご自分でも何食わぬ顔をして出演されるらしいから、昔のスリラー映画監督ヒッチコック氏張りかな?)
このお二人の(ラジオ放送の)対話集なので、面白くないわけが無い?!
職業的な立場の違いでのチグハグさや、お互い容赦ないツッコミだけど、さらりといなせる大人同士の会話ですから♪
しかし、“電子レンジと卵の話”は、何時でも、誰の話でも、噴出してしまいますね!(大笑)
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