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[20210920]
RAD-S312N(Tr.ラジオ)を買って、修理

「コイル」と「バリコン」で発振回路が構成されていて、短波帯全域で発振信号が出せて、前面の恰好が良さそうな機器...というと、(古い頭なら直ぐに)"オールウェーブ・ラジオ"が思い浮かぶ。
それを、「信号発生器+カウンタ」として、変身させられないかと考えた。(...が、結果は、下手な考え休むに似たり?!)

安価で手に入り、実験に使えそうな"トランジスタ・ラジオ"を幾つか買って検討してみた。
これ(RAD-S312N)はその内のひとつで、電源が入らない故障ジャンク品。(図1 ¥950送料込み)

取り敢えず、故障の原因だった(乾電池の浸出液による)電源スイッチの腐食と接触不良を治して(図2[クリック])から、(局発を利用した)「オールバンド発振器」の可能性を調べた。

現状では、各バンド幅が狭過ぎるので、バリコン2個を並列にして、それを広げる方法を実験してみたが、思ったほど広がらず。
それに、このポータブル機では、(小型)「LCDカウンタ」を、そのまま収めるのにはやや狭くて苦しい。
低周波部やスピーカー部を外しても、横幅が足りない。
(ふむ、この案は、あまり良いアプローチではなかったかな?)

追記:
後で、思い付いたが、もしかしたら、(ICで細工をしているのではなくて、)「コイル」の中に直列に「コンデンサ」を入れて"バンド幅を狭める"ことは可能かもしれない。
それなら、現物を開いてみると分かるだろう。一度、どれかを(犠牲にして?)調べてみよう!

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+++ 狙いは、局発の流用 +++
当初、これの局部発振周波数は、受信周波数より455KHzだけ高い周波数で発振しているので、あまり手を掛けなくても、容易に0.5MHz〜28MHz位の発振信号が得られるだろうと思っていた。

しかし、現在の"マルチバンド・トランジスタ・ラジオ"は、昔のとは違って、回路主要部はIC化により合理化(?)されている上、各バンド幅も必要な領域をカバーすればいいだけの、狭い範囲(1MHz以下)だった。それに"ハム・バンド"(7MHz以外)も聴けない!(図3
例えば、短波帯は(広そうな)SW8でも15.00MHz〜15.75MHz。
中波帯が、一番広くて540〜1600KHz。(差は、1.06MHz)

これでは、0.5MHz〜30MHzの発振信号を得ようとすれば、少なくとも30個(いや、それ以上)の切り替えが必要になる。
先日の手製の「ディップ・メータ」では、「コイル」は、8個程で済んでいる。
これも、その個数あるので、丁度良さそうなのだが...(図4[クリック]

此の「RAD-S312N」で使われているバリコンの容量は、AM-RF用、AM-OSC用共におよそ10pF〜110pFだった。
これだと、100μHのコイルと組合せで、およそ1MHz〜3.3MHz、25μHのコイルとでは、およそ3MHz〜9MHzの可変範囲で発振させられるはずなんだが、そうはなっていない。
あくまでも、1MHz以内に納まるように、IC内で制限しているらしい。

試しに、OSC回路のバリコンと並列に、max300pFのバリコンを外付けしてみたが、下がった周波数は約200KHz〜300KHzで、ほんのスズメの涙!(泣)


+++ 回路の検討、RadioICの回路 +++
回路を調べるのには、ICとその応用回路を調べるのが適当なのだが、これの主ICは、裏返しに半田付けされていて、「品番」を読むことが出来ない。(図5
(素直に部品面に取り付ければ済むのに、わざわざ足ピンを全部反対側に折り曲げるという曲芸をさせているのは、なぜ?)

手持ちの別のトランジスタ・ラジオを分解してみたら、「S1A0426C02」という品番だったので、それを手掛かりにググってみた。
回路図が見付った。主要な接続はほぼ同じなので、多分、これと同じものだろう。(図6[クリック]

実物は、この回路に、"短波帯の切り替え部"が付加されているだけのようだ。
これを見ると、バンド幅を広げるには、OSC部のバリコンを大きくする以外に方法は無さそうだ。
しかし、それがダメだったので、今は、他の簡単な方法を探すか、諦めるかの瀬戸際だ。


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