[050121]
コイルのQを、調べてみました.
次に計画している電池管ラジオ用に、(インダクタンスが丁度いいからと1石ラジオから使って来た)細コイルが、果たして使えるものかどうかチェックしてみました。
常識的には、直径30mm程のボビンに巻いたコイルを使うべきなのでしょうが、スペースを極力切り詰めるのが趣味なので、こんな細い小さいコイルに拘っています。
この怪しげなコイルについては、2次コイルの有無やタップの有無も問題なのですが、コイルの良さを表すQ値がどれ位かと云う事も問題です。これは混信排除の度合いに影響するので、一番気になる処。で、今回それを測ってみました。
結果はおよそ40前後で、予想した程悪くはなかったのですが、やはり大きさ相応の値でしょうか。でも...これが使えるかどうかは微妙。
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測り方.
直接Qを測る装置があればいいのですが、生憎そのようなものの手持ちはありません。そこで、信号発生器(Leader製のLSG-215)とシンクロスコープ(岩通製SS-5711D)を使いました。
ターゲットのコイルには100pFを抱かせて共振回路にし、信号発生器の出力はリンク・コイルを介して被測定コイルに与えました。(宙ぶらりんなので、動かさないように、そっと、そっと!)
始めはその同調周波数付近での出力値を丁寧に採取してカーブを描いていましたが、Qを出すだけならそんな面倒な事は必要ないので、次の式を満たすように値を採りました。
Q = fc/(fh-fl)
(fc:ピーク周波数,fh:高い側の3db落ち周波数,fl:低い側の3db落ち周波数)
つまり、電圧がピークになる周波数と出力電圧を出しておいて、それより高い方と低い方で電圧がピーク時の71%になる周波数を見付けて、それらを引いたり割ったりすれば出るはず。
(ただし、電圧は尖頭値で良かったかどうか、若干不安。それに、シンクロスコープの電圧値の読み取り精度はそれ程高くないので、Q値もアバウトです)
測ったコイルと結果.
コイル | fc | fh | fl | Q |
細(空芯) | 1,204KHz | 1,220KHz | 1,188KHz | 約38 |
細(コア入) | 830KHz | 840KHz | 820KHz | 約42 |
STAR製 | 2,794KHz | 2,828KHz | 2,758KHz | 約40 |
オレンジ大 | 800KHz | 815KHz | 785KHz | 約27 |
調べたのは、左写真の左端の細コイルですが、参考のため他のコイル(もどき)も同じようにして測ってみました。
中央は(昔の)短波(3.5MHz帯)用STAR製市販品、右端はコア密巻きインダクタ(オレンジ大)。
尚、右上は100pFチタコン。
(残念ながら、昔の標準的な中波帯のコイルなどは、まったく残っていませんでした)
結果、昔の市販品は(腐って来たのか?)それ程Qは高くありません。(はて、新品の時の値はどうだったのでしょう?)
密巻きインダクタも小さくて具合良さそうなので、使えないかと測ってみましたが、Qはかなり低いので同調回路に使うのはちょっと苦しいですね。
問題の細コイルは、無理すれば使えない事はないでしょう。しかし、スーパ特有のイメージ妨害混信にはやや弱いかも。まぁ、一応使ってみるつもり。
品評.
資料:木賀忠雄OT著「受信機の設計と製作」によると、単層コイルの直径が30mmなら最大Q値は200位で、実際は100〜150位らしいのですが、直径が8mm位だとQは最大でも80弱みたいです。
通常、バンク巻きコイルはQ値がぐっと落ちるらしいんですが、それでも細コイル(見掛けが汚い割には?)よく頑張っているようです。
それにしても、STAR製のが良くないのはどうも解せませんが、測定周波数帯が低過ぎるからでしょうか。それとも、ベークライト・ボビンの劣化か何かかな?
コア密巻きのインダクタのQがもう少し(50〜60位は)あると思っていましたが、予想より小さいなと感じたのは多分知識/経験不足のせいでしょう。実際はこんな値なんですねぇ。
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