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[2018年4月26日]
小電力無線機(T-668)ジャンクを、修理してみた

先日、家人と(低い山の)山歩きをしていて、離れ々々になったため、携帯電話で連絡を取ろうとしたが“電波が届きません”とかのメッセージがあり、通じず。(はぁ?!)
幸い一本道で距離にして百米(m)も無かったので、引き返して、直ぐに出会えたのだが、それで思った。携帯電話って意外に不便!(笑)

そのことから、急に“無線トランシーバ”に興味が湧いて、“特定小電力無線局/機”を調べ始めた。
何でも、それらは“技適品”でないといけないし、当然分解して中身を触ることなども許されず、ということらしい。(警告解説書の例
こちらは、ジャンクで安く買って中身を弄ってナンボの趣味なので、“モシモシーハイハイ”だけに使うなんてのは、甚だ面白くない!

...と思いながら、ヤフオク!を眺めていたら、(国内使用禁の)「YYT T-668」の不良ジャンク品(受信ノイズ品−スケルチ不良?)が眼に留まったので、治せないかな?と好奇心一杯で買ってみた。(総費用¥790送料込み)
(最近流行の“セクハラ”話と同じで、たとえノイズ相当の微小電力でも、“送信”したら即違法だそうなので、)“受信”のみで、「スケルチ部」の修理をしてみた。

原因は良く分からないが、“スケルチ・レベル”が設定(固定)状態から外れていたので、抵抗を足して調整したら、ちゃんと受信時の“強烈雑音”は止まった。要は、(固定してある)「閾値レベル」が拙い方に変化しただけのようだ。

が、このスケルチ、(ディップ・メータのような)“並みの変調電波”では開かないようだ。トーン・スケルチでもなさそうなのに...これは困った!
まぁ、(修正前の)受信機能は正常(動画1<クリック>)なようなので、一度何らかの方法で“スケルチ機能の正常化”を確認してみたい。
それにしても、この小ささは何だ?!マウスより小さいではないか!(図1)...まぁ、厚みは携帯電話よりも分厚いが。(苦笑)

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分解とIC類の確認

日本の技適機器は、簡単には開けられないように、特殊なビスなどが使われているはず(?)だが、この無線機(T-668)は、普通のプラス・ドライバで簡単に開けられる。
中は至極あっさりしていて、アンテナなどは、バネ状のものを使っている。
外部への延伸などは出来そうにない。(図4<クリック>

基板の表面には、「MC34119(AudioAmp)」と「GP214D(1.4GHz Dual PLL)」が見えた。
でも、これらは直接「スケルチ部」には関係しないだろう。

基板裏を見ると、「MC3361(FM IF)」があった。(図3)
この資料類をネットで探して調べてみると、随分古くから利用されているICらしい。
この後継に、MC3362とかMC3363など、より高集積、高機能化されたICもあるそうだ。
当該「MC3361」の技術資料のブロック図を見ると、「スケルチ回路」が含まれていることが分かった。
多分、その辺りを調べれば、どう対処すればよいか分かるだろうと思う。
最近の安価乱造製品(?)は、こうした汎用のIC類(もしかして、在庫処分品か?)を使っていて、その資料も手に入れ易いので、解析するのに便利で有り難い!(誰に感謝か?苦笑)

問題箇所の分析

モトローラ社「MC3361」の資料の中に、応用回路例があって、何処が「スケルチ・レベル」の調整箇所か直ぐに分かる。(図6<クリック>
通常は、このように可変抵抗器(VR)を使って、手動で調整するようにしてあるのが普通だが、この「T-668」には、そんな調整回路などは無いらしい。
一個の固定抵抗「153(15KΩ)」で、済ましてあるようだ。

始めは、これでちゃんと“レベル調整”が出来ていたはずで、後で不良化したわけだから、何処かのレベルがズレて来たのだろう。
どうやら、先に少し弄くった形跡があるが、それでは直らなかったようだ。(図5の方形部)
そちらの方を追っ掛けるより、ここを再調整して、直せるかどうか見た方が早いと思った。(図5の円形部)
オシロスコープで調べてみると、やはり、ダイオードの両側のレベルが高くなり過ぎているようだ。
カソード(−)側の電圧を下げてやれば、「スケルチ」が働くだろうと見た。

レベル調整

対策の最後は、“固定抵抗の置き換え”になるだろうが、先ずは「可変抵抗器」を入れて探ってみるのが一番早い。
それも、3端子ではなくて、2端子だけで、現在の固定抵抗器と並列に抱かせるようにしてみた。(図7)

結果は、約60KΩ付近で、ぎりぎりノイズが止まる状態になる。
だが、生憎、その値のチップ抵抗は、手持ちが無い。
有るのは、「473(47KΩ)」ばかり。止む無く、それで間に合わせた。
多分、“スケルチ・レベル”が、少しばかり深くなるだろうが、取り敢えず、ギリギリ、ノイズが止まればいい。(図8<クリック>
これで、処置終わり!

ま、何かの機会に、“スケルチ・レベル”が適正かどうかを、調べてみよう。
「ディップ・メータ」の変調を工夫すれば、何とかなるかもしれない。

置物の脚と冗長品
この無線機、外観もそうだが内部なども、見れば見るほどオモチャの感じが強い。
他の無線機なら、音量調整用のツマミがある箇所に、これは「青色LED」が付いていて、(薄暗い)懐中電灯モドキになるらしい。(図10<クリック>
でも、“白色”ではなくて、“青色”とはなぁ。
あるいは、何かの“合図用”なのかな?米国やカナダでのお作法は、良く分からないが。

これを立てようとして、ちょいと置いたら、ひっくり返って机の上から転げ落ちた、(ゲッ!)
大体、底の脚が丸みを帯びているから、こんなのでちゃんと立つわけが無い!
兎に角、削るべし!で、削ってやっとこさ立つようになった!(図9)
これで、棚の“(自称)オモチャコーナー”に混ぜて立てておけるぞ♪(笑)

...それで思い出したが、これに使ったのは百均グッズの「平ヤスリ」、最近店頭で見掛けなくなってしまった。
有れば、追加で買っておきたいと思っているのだが、これ、あまり売れないのかな?
色々な作業に便利に使っていて、コスパは抜群なんだがなぁ。


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