[120922]

真空管試験器ジャンクを、買って修理しました

ネット・オークションを散策していたら、懐かしくて珍しいジャンク(眞空管試験器 國洋電機 型式VE6 昭和22年9月製造)が眼に留まって、普段なら手を出さない金額にまで(ごり押しで?)競り上げて、落札。(トホホの総費用\4,410送料、手数料込み)

近頃は、真空管式の「ラジオ」や「通信機」などに結構人気があるらしく、その煽りで物も高価だし、保存にも場所を取るので、極力手は出さない事にしているのに。。。
でも、真空管試験機には馴染みがあるし、今回はその中身にとても好奇心が疼いて、矢も楯もたまらず買ってしまいました。(左写真&クリック)

中の配線が外れていたりして、少し手入れが必要でしたが、一応動作するようになりました。
試験内容は、至極簡単な「短絡試験(ショート)」と「放射試験(エミッション)」だけです。
“内外の清掃”と簡単な“塗装剥し”はしましたが、このまま現状維持で再塗装などはしないつもり。 ・・・ でも、満足感十分♪

尚、ラジオ温故知新」さん処に置かれている國洋製VE3の解説書(pdf Ver10以降?)を、拝見・参考にさせて頂きました。感謝!<(_"_)>
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外観とデータ
この品物は、昭和22(1947)年9月製で65年も前に作られていて、多分保管状態もあまり良くなかったのでしょう、箱周りは錆が出ていて、塗装は殆ど残っていません。
でも、前面は、黒塗装が剥げていますが、錆が見当たりませぬ!?(はて、この材質は何だろう?あ、ジュラルミンらしいですね!)

ツマミは、元々のが2つ残で、これらはマイナス・ビスの頭が欠けていて、このままではもう外せない!(するなら、潰して交換でしょうね)
「選択」ツマミは売主の方が新しく付けられたようで、これは後で、「矢型ツマミ」に交換。

箱側面に、代表的な真空管の「設定方法」と「指示値」をエンボス印字した板が貼り付けられています。(左写真&クリック)

内部の様子
内部の主な部品は、
  ・トランス(多タップ型)
  ・特殊ロータリ・スイッチ(銅板接点型−接続端子群切替用)
  ・通常ロータリ・スイッチ(フィラメント電圧切替用)
  ・巻線型可変抵抗器(AC100V入力微調整用)
  ・抵抗群(指示計電流補正用)
  ・交流電流計(整流器内蔵型−指示値表示用)

で、一本だけリード線(薄桃色)が、何処にも繋がれずぶらぶら♪
(他にも、未接続はありましたが、それらは、即接続可能でした)

手入れ箇所
AC100V入力コードは、売主が付けられていたのを外して、百五円品(白色)に替えました。(左写真の左下隅)

一番、分かり難かったのは、未接続の薄桃色線ですが、上記の國洋製VE3の回路図を参考にさせて貰い、後は実験的に決めて半田付けで接続しました。(左写真の黄矢印)
これで、「調整」の時、指示計の針は100%を、「放射試験」の時は、程々の値を指せるようになりました。

それ以外の作業として、抵抗値を調べようとして「巻線抵抗」の端子部を気が付かずに切ってしまっていたので、これを苦労して補助線を使って接続しました。(左写真クリック)
因みに、これらの抵抗値は、小さい組が約1.9KΩ、大きい組が約3KΩでした。
(小さい組の値がやや大きいようで、巻線抵抗の値が500Ωほどありますが、これは劣化かな?)

回路図など
一応、回路図を描き出そうかと思ったのですが、それほど愉しくもなかろうと思い、止めました。(左写真)
ざっと、中を眺め回したら、抵抗の値は少し違っているし、一部の配線経路も少し妙ですが、上記のVE3の回路構成とほぼ同じらしい。
ただ、銘板の写真を見たら、VEoやVE6のようにも見えます。 ・・・ が、やはりVE3のようですね。(左写真クリック) ...(となると、途中で誰かが部品や配線替えでもしたのかな?)

試験の方法は、「短絡試験」では端子同士が接触していないかどうかのテスト、「放射試験」ではカソード(またはフィラメント)からの熱電子放射量をプレート(アノード)電流に替えて調べるもので、グリッド群は全部プレート側に接続してテストするようです。

ただし、「放射(エミッション)」は、真空管に流れる電流を「負荷抵抗」の端子電圧で測る方式なので、電流の多い真空管ほど、「指示値」は高くなる。つまり、「指示計」の針が右に振れるほど、「放射」は良好ということになるわけですね。

確認試験
手持ちの『UY-76』と『UZ-6ZP1』を、この(未校正の)試験器で試験してみたら、標準表では「5B」だけど、指示値はどちらも「6.5B」近くでした。(左写真)
(「調整」は、「10」に設定。(左写真クリック))
これによれば、これらの真空管は、エミッションはまだまだ高い(つまり、「エミ減」ではない!)らしいが、ちょっと怪しいですね。(笑)

並列抵抗を入れたりして、アノード(プレート)側の抵抗値を変えてみたのですが、あまり変化がなかったので、このままでもいいだろう!と元に戻しました。

まぁ、こんな錆だらけのジャンク測定器で、ちゃんと値が出せた事だけでも、嬉しい♪ ・・・ (でも、実際の使用頻度は低いだろうと思うと、やや寂しい!)

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