[050212]

手作り5球スーパ(筋書きの無い)物語-参.

AF(低周波)部でもたついていた電池管5球スーパ、早々と?IF(中間周波),RF(高周波)部の配線を済ませました。
もっとゆっくりやるつもりだったのですが、(こちらの方は大した配線量ではなかったので)予想以上に進んでしまいました。

AC電源ならB電圧は+40Vほど加えられるしRF段を設けた事もあって、総合ゲインは充分なようで、短いアンテナでも強い局はスピーカが壊れるほど鳴りますし、弱い局もそこそこ聴けます。(AF段でのゲイン不足の心配は、まったくの杞憂でした)
また、1L4のようなシャープ・カットオフ管にAVC/AGC(自動音量調整/自動利得調整)を利かせるのは邪道?のはずなのですが、利かせてみたら案に相違して大変良い結果でした。

フロント・パネルに透明アクリルを使ってみました。(これは、常識ハズレもいい処で、加工が難しいし、ウッカリしてると簡単に割れや傷が出来ます。通常は、人体接近の影響を遮断出来るアルミなどの金属板がベター)
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IF,RF部の配線.
高周波部の配線は、B電源系のデカップリング回路やスクリーン電圧用ドロップ抵抗などを省略して極く簡素にしました。
これは電池管だしB電圧が低いのでゲインはそれ程高くないだろうと思ったからです。幸い、異常発振などは起きていないので、多分これでもいいのでしょう。(並のmT管を使ってB電圧が高ければ、デカップリングは不可欠かな)

コンデンサ類は、省スペースのため殆どセラミック型を使いました。耐圧は(多分)どれも50V位で中には25Vのも混じっているかも知れません。でも、B電圧の方は40Vなのです。
従って、安全性の点では全く不合格。(壊れたら、その都度交換するかいなぁ。(^-^;?)

局部発振コイル.
一番梃子摺ったのは、局発コイル。元々何に使っていたのか分からないコイルを使おうとするのですから、インダクタンスだけが合っていても、素直に発振コイルにはなりませんね。

回路を変えたりして色々トライ&エラーをした後で、結局プレート・コイルを上に手巻きで巻き足す事にしました。(昔の書籍を引っ張り出して眺めていると、およそ30t〜40t(巻)位あればいいらしい...)
最初0.2mmΦのウレタン単線を巻いてみたけど広がってしまって巧く巻けません。で、(中途半端に解いたあった手持ちの)RFチョークのリッツ線を使ったら、何とか巻けました。これはコイルに付いていたロウの粘着性にも助けられました。
でも線の長さは、巻き数28t分しか無かった!・・・ままよ!とやってみたら、(やっと)発振に成功!しかも、全域で安定していました。(ヨカッタ、ヨカッタ!)

音が出た!
組み上げてからまず信号発生器(SG)で455KHzIFTを調整しましたが、局部発振部が動作し始めてからは700KHzと1,400KHzで出力最大になるようにコイル群などを調整しました。(この時点では後述のAVC/AGC回路は入っていません)

さて、SGを外して・・・ん?バリコンを回しても何も聴こえない!・・・で、RFコイルに短い線を付けてみたら途端に、ガッガーッ!(これがバーアンテナだったら、そのままでも聴こえるんでしょうけど)
3m位の線を繋いだら、弱い局も聴こえるようになりました。逆に、強い局は喧しい程です。(受信例:この5球スーパのスピーカとTP600の収録マイクの距離は約30cm

前パネル.
一応、ちゃんと受信出来るようになったので、前パネルを付ける事にしました。
スピーカは、回り込み遮音板を付けると音量・音質が改善される事は良く知られていますので、これは必ず付けるつもりでした。(出来れば密閉箱にすると、更にいいと思うのですが)
透明アクリル板(2mmx180mmx320mmを(ホームセンタで)買って来て(\525税込 高っ!)加工しました。(流石に、こんな板は、\105ショップでは見付けられなかった)

危うかったのは、このパネルの厚みが2mmだった事で、シャーシの厚みを加えると、バリオーム(可変抵抗器)やイヤフォン・ジャックの留めネジが締められるギリギリの厚さになっていました。(辛うじて締める事が出来ましたが)

回路.

回路上で問題点が3つありました。一つ目は、1S5のフィラメント電圧の供給の仕方。二つ目は、上述したAVC/AGC回路。三つ目は電源SW

1S5フィラメント端子1番は、必ず0Vにする必要があります。うっかり+3Vなどを与えると、それが逆バイアスになるようで弱い信号では検波出力が出ませんし、中程度の信号では頭だけしか聴こえませんデシタ。
ミスしていた1S5フィラメント電圧供給の例。別途、この機能はDAVC/遅延型AVCには利用できるかも)

今回色々あれこれ試聴していて、AVC/AGCの利いていない受信機ほど使い辛いものは無いと感じました。
シャープ・カットオフ管だからと云ってAVC/AGCを考慮しないのは勿体無い話。可能な範囲でいいから、利かせてみるべきですね。
始めは手動調整方式(MVC?)だけのつもりだったのですが、あまりにも局間の出力差が大き過ぎてやたら操作が面倒で使い難くかったので、試しにAVC/AGC回路を入れてみました。(IF,RF段の第1グリッドへ供給)
その結果、操作性が劇的に改善されました。(眼から鱗?!)
強い局/弱い局受信にかかわらず、RF段はいつもほぼ最大ゲインに設定しておけますし、後の多少の音量調整は低周波段だけで楽にできます。
それまでは、うっかり最大ゲインで強い局を受信したらスピーカが壊れそうで耳も壊れる程の大音響になっていたし、逆の場合はまったく何も聴こえず状態だったのですから。

最後のは、まだ解決・処置していません。電源スイッチがもう1回路足らないので、高圧側か負電圧側のいずれかが切れないのです。(まぁ、リレーかFETを使えば何とかなるとは思うのですが)

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